今さら聞けない【テスラとは?】分かりやすく解説。米国株投資を始めたいあなたは必見!

テスラが2022年1月26日発表した2021年10~12月期決算は、
売上高は前年同期比65%増の177億1900万ドル(約2兆円)、純利益が8.6倍の23億2100万ドルでした。

世界的な半導体不足のなかでもテスラの完成車工場は高い稼働率を保ち、売上高と純利益は四半期ベースでそろって過去最高を更新しました。

今や時価総額でトヨタ自動車を上回るテスラ。
今回はテスラのビジネスモデルを分かりやすく解説します。

 

この記事で分かること
・テスラとは何か
・テスラのビジネスモデルとは
・テスラの株は買いなのか?

 

目次

テスラとは何か

テスラは、カリフォルニア州パロアルトに本社を置く、アメリカの電動輸送機器およびクリーンエネルギー関連企業です。

テスラ社の現在の製品には、電気自動車、家庭用からグリッドスケールまでのバッテリー電動輸送機器、ソーラーパネル、ソーラールーフタイル、およびその他の関連製品とサービスが含まれます。

テスラの創業

テスラはCEOのイーロン・マスクが有名ですが、彼はテスラの創業者ではありません。テスラを創業したのは、マーティン・エバーハードとマーク・ターペニングという2人でした。

エバーハードはWyse Technologyという電子機器メーカー(現在はコンピューター製造販売のDell傘下)のエンジニア出身で、1987年にNetwork Computing Devices(NCD)というシンクライアント(サーバ処理を前提として機能や内蔵機器をシンプルにしたコンピューターデバイス)を製造する会社を立ち上げます。この会社は1992年に上場を果たします。

一方のターペニングは、航空機と防衛機器を取り扱う巨大企業、Textronのネットワークエンジニアとしてキャリアをスタートしました。

1997年、2人はNUVO media(現 Rocket eBook)という電子書籍デバイスの会社を立ち上げ、2000年に1.87億ドルで売却します。そして、この資金を元手に、テスラを設立します。
イーロン・マスクは2004年に投資家としてテスラに出資し、会長に就任、2008年にはCEOを兼任することになり、年現在に至っています。

テスラのコンセプト

テスラの創業時からのテーマは「テクノロジー企業の側面も持つ自動車製造企業」であり、そのコアになるのは「バッテリー、ソフトウェア、独自のモーター」でした。つまり、テスラは従来の自動車の根幹ともいえる「エンジン」を完全に外したコンセプトからスタートしました。

また、イーロン・マスクは2006年、最初の製品であるTesla Roadsterのコンセプト発表時に、「炭化水素経済から太陽電池経済への移行を促進する」ためにテスラは存在すると述べました。テスラでは人類が化石燃料利用による経済から脱却するために電気自動車(EV)を製造している、という存在意義を定義しています。

2006年の宣言通り、イーロン・マスクはSolarCityという太陽光パネル製造企業を立ち上げ、2016年にはテスラの傘下に編入しました。こうしてテスラは自ずと、従来型の自動車産業とはまったく異なるアプローチで自動車を製造していくことになりました。初号機である Tesla Roadster以降は、2020年までに4つのプロトタイプと4つの量産機を製造し、2020年3月には通算100万台の製造を達成しました。

現在は、世界で最も販売されている電気自動車(EV)メーカーとなっています。

テスラのビジネスモデル

テスラは、単純なEV自動車製造の企業ではありません。太陽光発電でエネルギーを創り、蓄電池でエネルギーを蓄え、EVでクリーンエネルギーを使う企業です。

いわばクリーンエネルギーを「創る、蓄える、使う」の三位一体事業を行っています。

・ミッション

「人類を救済する」
これはテスラのミッションであると同時に、イーロン・マスク個人のミッションでもあります。その実現のために掲げたビジョンが「クリーンエネルギーのエコシステムを構築する」ことです。

・ビジョン

クリーンエネルギーのエコシステムを構築する。

・戦略(2006年マスタープラン)

スポーツカーを作り、その収益で安価なEV車を作り、更にその収益でもっと手頃な価格のEV車をつくる。
それらを進めながらゼロエミッションの発電オプションを販売する。

①最初に高級スポーツカーを作る(ロードスター)
②その売上で手頃な価格の車を作る(モデルS、モデルX)
③その売上でさらに手頃な価格の車を作る(モデル3)
④以上の手順を繰り返しながら、ゼロ・エミッションの発電オプションを提供する

・マーケティング

テスラに共感する富裕層をターゲットにする。

・戦術 4P

PRODUCT
高級EV、高級スポーツカー

PRICE
プレミアムな価格設定

PLACE
直営ディーラー、インターネット販売

PROMOTION
イーロン・マスクがSNSで発信。

テスラは2006年のマスタープランをじつげんさせ、現在は2016年に発表した、マスタープラン・パート2を進行中です。

マスタープラン・パート2とは

最初のマスタープランは、そこに提案された全てが、モデルS、モデルX、モデル3で実現されています。
ここでは、2016年に公開されたマスタープラン・パート2を簡単に説明します。

①バッテリーストレージとシームレスに統合されたソーラールーフを作る。

2016年に太陽光発電のソーラーシティを買収・合併しました。太陽光パネルと屋根用タイルが一体となった、「ソーラールーフ」家庭用蓄電システム「パワーウォール」を発売し、パナソニックと共同経営する工場「ギガファクトリー」ではEVに搭載するリチウムイオン電池を生産しています。こうして、クリーンエネルギーを「創る」と「蓄える」をシームレスに統合し、クリーンエネルギーのエコシステムを構築するために一元管理しています。

②すべての主要セグメントをカバーできるようEVの製品ラインナップを拡大。

2017年にはロードスターの2代目を発表しました。その開発状況は不明ですが、2021年中の発売も噂されています。2019年には大衆SUV「モデルY」を発表し、2020年3月から納車が始まっています。2017年には輸送用トラック「テスラ セミ」、2019年にはトラックの耐久性にスポーツカーの運動性を兼ね備えたピックアップトラック「サイバートラック」を発表しました。

③ 世界中のテスラ車の実走行から学び、人が運転するより10倍安全な自動運転機能を開発。

テスラは世界中を走るテスラ車から走行データを収集し、自動運転機能「オートパイロット」を進化させています。ここには従来のガソリン車とは違うIT業界のものづくりに近い手法が取り入れられています。
テスラの車は、スマホのようにソフトウェアの「アップデート」によって進化していくのが特徴で、オートパイロット機能も、そのようなソフトウェアの1つです。現在発売されているテスラ車はすべて完全自動運転を見越したハードウェアとなっており、あとはオートパイロットのアップデートと、完全自動運転が公道で許可されるのを待つばかりとなっています。

④クルマを使っていない間、そのクルマでオーナーが収入を得られるようにする。

テスラの構想では、オーナーが仕事中や旅行中などで車が必要ない時、カーシェアリングに車両を提供。
この収入を、月々のローンやリースの支払いに充当し、時にはそれ以上の収入を得ることも可能にする。ほぼすべての人がテスラ車を所有できるほど、実質的な所有コストが大幅に削られます。

テスラの株は買いなのか?

2022年1月27日の米株式市場で株価は急落し、1日で時価総額約1090億ドル(約12兆6000億円)が吹き飛びました。

10-12月利益は予想上回りましたが、新型モデル年内投入をしないことが影響しています。

テスラは26日の決算発表の電話会見で、「オプティマス・ヒューマンロボット」(汎用=はんよう=人型ロボット)については詳しい説明を行いましたが、

EVの新モデルについては十分な情報を提供しませんでした。

マスタープラン・パート2にある「製品ロードマップの更新」に「サイバートラック」や「セミ」、将来の低価格モデルの計画に関する強気のニュースが含まれると思っていた多くの投資家がマイナスイメージを持ったと考えられます。

Bloomberg.co.jp
TSLA:NASDAQ GS 株価 - テスラ テスラ (TSLA:NASDAQ GS) の株価、株式情報、チャート、関連ニュースなど、企業概要や株価の分析をご覧いただけます。

リンク:ブルームバーグ

しかし、私たちがテスラへの投資を行う場合、機関投資家と違い、顧客を気にせず自分自身の時間軸で保有することができます。

マスタープラン・パート2が実現される将来を考えるとテスラ株は長期で保有することで私たちの資産を増やすことができると考えています。

まとめ

今さら聞けない。テスラとは?

自動車の新しいコンセプトであるCASE全体を推進している企業といえます。

EVだけではなく、完全自動運転でもテスラが先駆者になる可能性は小さくありません。
したがってテスラが引き続き、マーケットに影響を及ぼす会社であることは確かです。
そして、「クリーンエネルギーを創る、蓄える、使う」という三位一体事業の革新性。

イーロン・マスクの使命感と、ビジョン、そしてビジョンを形にしてきた歴史を見ると今後の動向に目が離せません。

本記事がテスラのビジネスモデルから想定する投資判断のご参考になれば幸いです。

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この記事を書いた人

IT業界で製造領域に携り7年

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